シンガポールの交通広告・屋外広告を現地調査|チャンギ空港OOHの最新事例①

OOH

 皆さんこんにちは、世界有数のハブ空港として知られるシンガポールのチャンギ国際空港は、単なる交通の要所にとどまらず、最先端のデジタル広告ショーケースとしても注目を集めています。

 年間6,000万人を超える旅客が行き交うシンガポール国際空港では、世界中のブランドにとって絶好のブランディングの舞台となっており、シンガポールのOOH(Out-of-Home)広告市場を象徴する場所と言えます。

 本記事では、運営者の私が、実際に現地に行った、チャンギ国際空港のデジタルサイネージを切り口に、シンガポールのOOH広告市場の最新動向とその特徴について掘り下げていきます。

チャンギ国際空港とは?

 チャンギ国際空港は、長年にわたり「世界最高の空港」として数々の賞を受賞してきましたが、その評価を支える要素のひとつが、館内に張り巡らされた高品質なデジタルサイネージネットワークです。

蒸し暑すぎるJewel Changi Airports

 ターミナル1から4、そして商業施設「Jewel Changi Airport」に至るまで、4K対応の大型LEDウォールやインタラクティブパネルが配置され、旅客動線に沿った戦略的な広告展開が可能となっています。これらは単に静的なポスターをデジタルに置き換えたものではなく、時間帯やフライト情報、旅客の属性に応じて柔軟にコンテンツを切り替えられる仕組みとなっている点が大きな特徴です。

チャンギ国際空港のデジタルOOH

 シンガポールのOOH市場は、近年急速にデジタル化(DOOH:Digital Out-of-Home)へとシフトしており、その牽引役となっているのがチャンギ国際空港をはじめとする主要交通拠点です。その中心的な役割を担っているのが、世界的なOOH企業であるJCDecauxです。JCDecauxは、2011年からチャンギ国際空港の広告コンセッションパートナーとして事業を展開しており、2023年には契約を2029年まで更新。さらに2034年までの延長オプションも設定されています。

JCDecaux renews and extends its advertising concession with Singapore Changi Airport for the second consecutive time
JCDecaux SE (Euronext Paris: DEC), the number one outdoor advertising company worldwide, announces the renewal of its ad…

さらに、JCDecaux Singaporeは、空港内の広告について、長い滞在時間を活用できること、また広告面が免税店やプレミアム店舗に近い場所に配置されていることを強みとして説明しています。
つまり、空港広告は「移動中に見られる広告」であると同時に、「購買行動の直前・直後に接触できる広告」でもあります。

入国審査後すぐの場所

日本では、「JCDecauxグループの日本法人」として、MCDecaux(エムシードゥコー)が展開しています。

項目JCDecauxMCDecaux
読みジェーシードゥコーエムシードゥコー
位置づけフランス発の世界的OOH企業グループJCDecauxグループの日本法人
担当エリア世界各国。チャンギ空港はJCDecaux側の案件日本国内
資本関係親会社・グローバル本体JCDecauxグループ85%、三菱商事15%の会社
主な媒体領域空港、交通、屋外、ストリートファニチャ等日本国内の街中、商業施設、空港など
チャンギ空港との関係JCDecauxがチャンギ空港の広告コンセッションを担当基本的には関係しない。日本法人なのでチャンギ記事の主語にはしない方が自然
エムシードゥコー株式会社|MCDecaux,inc.
エムシードゥコーはJCDecauxグループの日本法人です。 JCDecauxは1964年、創始者であるジャン-クロード・ドゥコー氏が広告付きストリートファニチャを開発したことからスタートしました。以来、屋外広告に特化した国際的な企業として、…

空港内のデジタルOOH

空港内には多くの大型サイネージがあります。例えば、

荷物の受け渡し場所にも
柱全面のサイネージはインパクト大

まとめ

 チャンギ国際空港のデジタル広告の最大の特徴は、その「没入感」と「体験性」にあります。特に注目すべきはJewel Changi Airport内の巨大スクリーンや、ターミナル内に設置された曲面型LEDディスプレイで、これらは旅行者の足を止めるほどのインパクトを持つビジュアル体験を提供しています。Apple、ロレックス、シンガポール航空など世界的なブランドが、ここでしか実現できないクリエイティブな広告表現を競い合っており、広告そのものが「空港体験」の一部として認識されるレベルに到達しています。

 人の移動が戻り、リアルな接点の価値が再評価される中で、OOH・DOOHは単なる認知媒体にとどまりません。場所、時間、導線、購買タイミングを掛け合わせることで、Web広告だけでは届きにくい生活者のリアルな瞬間にアプローチできるメディアへと変化しています。

 チャンギ国際空港の事例は、これからのOOH活用を考えるうえで、「面を買う」のではなく、「人の動きと気持ちに合わせて接点を設計する」ことの重要性を示す例だと言えるでしょう。

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